電車内での迷惑行為は電話マナー以外にもある
先日、久しぶりに電車に乗った。
車両内では皆スマホに夢中。
わたしは基本的に電話は電話だと思って使っているので、移動時は移動だけに集中している。スマホは極力触らない。
無言だが、我関せずの集団は
強烈な威圧感を放っている。
さすがに電話で話し込む人はいなかったけど、なんだか異様な気持ち悪さがあり、不快だった。
ある営業マン風の若者が、そそくさと乗り込んできた。
靴はすり減り、額には汗をかいていた。
わたしは、さりげなく彼に席を譲ろうと思い、腰を上げた。
すると、英国スーツでセットアップした男性が、そこにカバンを置いた。
手にはタブレット端末。
仕事をしている様子で、近寄れば斬る と言った感じで一瞬睨まれた。
営業マン風の若者は、一瞬、空いた席に安堵の表情を浮かべた様子だったが、その英国スーツの男性の愚行に、「あゝ無情」といった落胆を示していた。
わたしは彼に何もしてあげられなかった。
むしろ、変な期待をさせた分
無性に不甲斐ない気持ちを味わった。
純粋に、英国スーツの男性の犯した行為が『迷惑』というカテゴリーに分類されたとしても、それに関心を抱く乗客は
居ないように感じた。
英国スーツの紳士よ、
マナーが人を作り、寛容さが品性を高める。
と、かつての紳士淑女たちは切磋琢磨していたことをご存知ではないのか。
という良心の呵責と社会に対する怒りに囚われながら、わたしは
向かいに座る東スポ記事の風俗情報欄に一瞥し、下車した。